2026/01/26
「良かれと思って」が部下の考える力を奪っていないか
こんにちは。東京コーチング協会運営委員の渥美です。新しい年が始まり、会社や組織で働く皆さんの中には、
部下やチームメンバーと昨年の目標に対するレビューを実施している方々もいらっしゃるかと思います。
組織の管理職としてそのようなレビューの時は勿論普段部下と向き合う中でも、「ついアドバイスしてしまう」「先に答えを言いたくなる」
そんな場面は誰にでもあるのではないでしょうか。特に1on1の場では、限られた時間の中で成果につなげたい、部下を成長させたいという思いが強いほど、
自分の経験や正解を伝えたくなるものです。しかし、その「良かれと思って」の関わりが、部下の考える力を奪ってしまうことがあります。
例えば、部下が「この案件、どう進めるべきか迷っています」と相談してきたとき。
多くの上司は、「それなら、まずAをやって、次にBだね」と即座に道筋を示すでしょう。
もちろん、その判断は合理的で、短期的には効率的です。ただ、このやり取りが続くと、部下の頭の中では、「自分で考える前に聞いた方が早い」
という学習が起こります。
ここで重要になるのが、コーチングでいう「ニュートラルな関わり」です。ニュートラルでいるとは、部下の話を聞きながらも、自分の正解や評価を一度脇に置き、
「部下は、いま何を考え、何に迷っているのか」に意識を向けることです。
同じ場面でも、「選択肢として何が考えられそう?」「それぞれのメリットデメリットは何だと思う?」
と問いかけることで、部下の思考は自然と動き始めます。ニュートラルな関わりのメリットは、意思決定の主体が部下自身に戻ることです。
自分で考え、選び、決めた経験は、次の場面でも活かされます。結果として、指示がなくても動ける部下が育ち、上司自身の負荷も軽減されていきます。
もちろん、管理職には「判断し、決断する役割」もあります。ニュートラルでいることは、決して何も言わないことではありません。
必要な場面では判断を伝えつつ、育成の場では、あえて答えを急がず、考える余白を渡す。
この切り替えこそが、部下育成を任される管理職に求められる関わり方ではないでしょうか。
部下の成長は、上司がどれだけ正解を持ち導くかではなく、どれだけ「考える場」をつくれているかで決まります。
ニュートラルでいるという姿勢には、部下の自走力を育て、結果的に組織全体の力を底上げしていく力があるのです。
忙しい管理職だからこそ、あえて「答えを急がない関わり方」を意識してみてはいかがでしょうか。
渥美貴生
渥美 貴生
Atsumi Takao
- 資格
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- 東京コーチング協会認定プロフェッショナルコーチ(TCAPC)
- 国際コーチング連盟プロフェッショナルコーチ(PCC)
- The Coaching Clinic® from Corporate Coach Uファシリテーター
- 担当コース
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- ビジネスコーチング・ベーシック
- ベーシックキーストーン
