“今ここ” を丁寧に見つめる力

こんにちは。東京コーチング協会の渥美です。
今回は、GROWモデルの“R(Reality/Resources)”について少しお話ししたいと思います。
GROWモデルは「Goal → 現状(Reality/Resources)→ Options → Will」という流れで、私たちの成長や行動を支援するモデルです。
その中でも “R” のステップは、ゴールに向かうための大切な土台になります。

“Reality(現状)” と聞くと、足りない点や課題ばかりを見つめるイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし、コーチングでは、現状を「不足を探す場」ではなく、「今どこに立っているのかを客観的に捉え、未来につながるヒントを見つける場」として扱います。
特に大切なのは、“Resources(リソース)” を丁寧に見つめることです。
リソースとは、スキル、経験、価値観、人間関係、時間、環境など、これまでの人生で培ってきた「すでに持っている資源」のこと。
クライアント自身は気づかず、当たり前のように使っている強みが隠れていることも少なくありません。

例えば、
「過去に乗り越えた困難」
「小さな成功の積み重ね」
「誰かに感謝された行動」
「気づけば自然にやっている習慣」

——これらはすべて、その人がすでに持っている大切な力です。

これらのリソースを言葉にしていくと、「自分にも使えるものがある」という実感につながり、ゴールへ向かうエネルギーが自然と高まっていきます。
だからこそコーチは、クライアントが持つ強みや成功パターンに光を当てる問いを投げかけます。

「これまで、うまくいった経験は何がありますか?」
「その時、あなたのどんな能力が役立ちましたか?」
「今、周りにどんなサポートやリソースがありますか?」
こうした問いは、自分でも気づいていなかったリソースを掘り起こし、未来の選択肢や行動の幅を大きく広げてくれます。

ゴールに向かうための鍵は、壮大なビジョンだけではありません。
“今ここ” にある現実と、自分の内側にすでに備わっているリソースを認めること。それが、次の一歩を踏み出すための確かなエネルギーになります。
その資源に目を向け、言語化し、認めることで、「自分には意外と使えるものがある」「このゴール、あながち絵空事ではないかもしれない」と
感じられるようになります。そしてその感覚が、クライアントの行動のエネルギーになるのです。現状認識とリソースの棚卸しは、
“夢 → 現実” をつなぐ、とても重要な土台なのです。

渥美 貴生

渥美 貴生

Atsumi Takao

東京コーチング協会 理事
資格
  • 東京コーチング協会認定プロフェッショナルコーチ(TCAPC)
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナルコーチ(PCC)
  • The Coaching Clinic® from Corporate Coach Uファシリテーター
担当コース
  • ビジネスコーチング・ベーシック
  • ベーシックキーストーン
コーチは人間を学び続ける - 社会科学・自然科学では割り切れない「人間」の領域とコーチが学び続ける理由 -
コーチングの上達のために
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