積極的傾聴 - 耳だけでなく、目と心で「聴く」

こんにちは。東京コーチング協会 運営委員の渥美です。
講座の中でも耳にしたことがあるかもしれません。“聞く”と“聴く”の違い、ご存じですか?
どちらも「相手の話を受け取る」行為ですが、その質には大きな違いがあります。
“聞く”は、耳に入ってくる音や言葉を受け取ること。一方で、“聴く”は、相手の意図や感情を理解しようと「意識を向けて受け取る」ことを意味します。
この違いこそが、ビジネスの現場での信頼関係や成果にも大きく左右します。

コーチングで大切にしている「積極的傾聴(アクティブリスニング)」は、単に相手が話す言葉を聞きとることではありません。
「聴」という漢字が示すように耳だけでなく、目と心を使って聴くことです。

たとえば、
・相手の表情や姿勢、仕草を「目」で聴く。
・言葉の背景にある想いや意図を「心」で聴く。

このように全身で相手のメッセージを受け取ることで、言葉の奥にある「本当に伝えたいこと」に気づくことができます。
耳・目・心の3つをそろえて聴くことができた時、コミュニケーションは一方通行の“情報伝達”から、相互理解が生まれる“対話”へと変わります。

しかし、これを日常で実践するのは決して簡単ではありません。自分も3つそろえて聴く難しさを感じている一人です。
特にビジネスの現場になると、忙しい会議やオンラインの打ち合わせの中で、「次に何を言おうか」「どう答えようか」と考えるうちに、
相手の言葉を“聞き流してしまう”ことが多いものです。

では、どうすれば「耳・目・心で聴く」状態に近づけるのでしょうか。ポイントは、次の3つです。

① 相手に“関心”を向ける
話の内容よりも、「この人はいま何を感じているのか?」に焦点を当ててみる。評価や分析ではなく、相手を「理解したい」という姿勢が相手に伝わります。

② 沈黙を恐れない
何を言おうか考えたり、すぐに返答しようとせず、数秒の間を置いてみる。相手はその沈黙の中で考えを整理し、自分の言葉を深めることができます。
「聴いてもらえている」という安心感が生まれます。

③ 相手の言葉を“返す”
「〇〇と感じているんですね」「つまり~ということですね」と、相手の言葉を要約して返すことで、理解のズレを防ぎ、信頼が深まります。

積極的傾聴は、スキルではなく相手を尊重する姿勢そのものなのです。耳・目・心の3つで相手に向き合うと、会話は表面的なやり取りから、
お互いの思考や価値観が交わる“対話”に変わっていきます。コーチングセッション以外でも、今日の1on1や打ち合わせで、少しだけ意識を向けてみてください。
きっと、相手の言葉の「奥」にある想いが、これまでよりも鮮明に聴こえてくるはずです。

渥美 貴生

渥美 貴生

Atsumi Takao

東京コーチング協会 運営委員
資格
  • 東京コーチング協会認定プロフェッショナルコーチ(TCAPC)
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナルコーチ(PCC)
  • The Coaching Clinic® from Corporate Coach Uファシリテーター
担当コース
  • ビジネスコーチング・ベーシック
  • ベーシックキーストーン
普遍性への憧れと遥かなる旅路
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