Whyの質問、慎重に使っていますか?

こんにちは。東京コーチング協会 運営委員の渥美です。
7月26日に開催された「TCAコーチング祭2025~感謝とチャレンジ~」
参加してくださった皆さん全員が笑顔溢れる素敵な時間になったと感じる祭でした。
この先、AIと共存しながら、人間による心を揺さぶるコーチングはもっともっと日常の当たり前になっていく、そんなことを強く感じた一日でした。

祭の余韻に浸りながらも、翌日にビジネスコーチングベーシックのUnit 4を担当しました。
Unit 4で学ぶオープンクエスチョンの中にWhy(なぜ)の質問があります。
仕事の現場では、「Why(なぜ)」という質問をよく使います。トヨタのなぜなぜ分析などもその一つですね。
でも、コーチングでは、その使い方には注意が必要です。
なぜなら、「Why」の質問は、私たちの脳や感情に強く働きかけ、時には相手を防衛反応に追い込みかねないからです。

「Why」の質問の落とし穴

まず、「Why」を人に対して使うと、相手は自分の欠点や失敗を責められているような気持ちになりやすいです。
これでは、対話が攻撃的に感じられ、相手は防衛的な態度をとることもあります。
実際、私たちの脳には扁桃体(恐怖や怒りを司る部分)があり、「Why」の問いかけはこの扁桃体を刺激します。
結果として、防衛反応(思考停止、言い訳、怒り)が引き起こされやすくなるのです。

次に、過去についての「Why」も注意が必要です。
過ぎてしまったことに「なぜこんなことになったのか」と問い続けると、その答えはすでに過ぎ去ったものであり、時には詰問や責めに近くなってしまいます。
何より、過去は取り戻せないものであり、「Why」を使うことは、多くの場合、責任追及や自己嫌悪のループを生むだけになりかねません。
では、仕事の中で本当の原因を見つけ、効果的に解決策を導き出すにはどうしたら良いでしょうか?

未来に焦点を当てて原因と向き合う

原因分析に「Why」を使う際には、「未来に向けた問い」にシフトさせる工夫が必要です。
たとえば、「もし同じことが起きたら、次は何をしますか?」「今回の結果を踏まえて、次にどう改善できますか?」「次はどんな方法を試してみたいですか?」
といった問いかけに変えるのです。
これらの質問は、過去の失敗や原因にばかり目を向けるのではなく、未来に向かって行動を起こす動機付けになります。

結果として、「原因は何だったのか?」という問いにも、自然に向き合うことになり、その先にある「次にどうするか」に結びつきやすくなるのです。

「なぜ?」を使うべき時と、そのタイミング

もちろん、「なぜそれが起こったのか?」原因を探ることは、特定の状況や根本的な問題を掘り下げるのに役立ちます。
ただし、その場合も、あくまでラベル付けや理解のための「一時的な問い」にとどめ、次のフェーズでは
「どうする?」や「ここから何を学ぶ?」へとシフトさせることが大切です。
例えば、「なぜこのプロジェクトが遅れたのか?」と問い続けると、ついつい遅れた原因に固執しやすくなります。
しかし、「遅れを取り戻すために、次に何ができるか?」と問いかけると、解決に向けた具体的なアクションが見えてきます。

また、「なぜこのミスが起きたのか?」に対して、「次回はどう予防できるか?」と質問すれば、
原因究明だけでなく、今後の改善も同時に考えることができます。

このように、仕事の場で真の原因にアプローチするには、「なぜ?」を用いるときも、その問いを未来志向のものに置き換える工夫が不可欠です。
過去の原因追求は大切ですが、その先にある解決策や改善策を引き出すために、「次にどうする?」という視点を必ず持つこと。

このように、「原因を究明」だけではなく、「未来に向かう具体的なアクション」を促す質問を選び問い続けることが、
組織やチームの成長につながるのです。
あなたは今、「Why」をどう使っていますか?

渥美 貴生

渥美 貴生

Atsumi Takao

東京コーチング協会 運営委員
資格
  • 東京コーチング協会認定プロフェッショナルコーチ(TCAPC)
  • 国際コーチング連盟プロフェッショナルコーチ(PCC)
  • The Coaching Clinic® from Corporate Coach Uファシリテーター
担当コース
  • ビジネスコーチング・ベーシック
TCA設立10周年記念イベント 「コーチング祭2025〜感謝とチャレンジ〜」 開催のご報告
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