“共創”は、なぜうまくいかないのか?

皆さま、こんにちは!TCA運営メンバーの長瀬です。
今、私がご一緒しているある企業では、「未来共創プロジェクト」と題した大規模な組織変革の取り組みが進んでいます。
トップダウンではなく、社員と共に未来を描く——その理想の先にあったのは、想像以上の葛藤と、言葉にならない沈黙でした。

■ 「共創しよう」が簡単ではない理由
プロジェクト初期、「これからは共創型で行こう」と打ち出しました。
けれど、現場は冷静でした。「またトップだけで決めたんでしょ」「本音を言ってもどうせ変わらない」そんな空気が漂っていました。
“共創”とは、皆で仲良く未来をつくることではありません。
異なる温度感や価値観がぶつかり、時に衝突しながら、そこにある“ズレ”を乗り越えていく地道な対話のプロセスです。

■ ビジョンを“届ける”のではなく、“見出す”
この企業では、キーパーソン10名以上と1on1での対話を重ねました。表向きには語られない「違和感」や「しらけ」の正体を丁寧に掘り下げ、
個々人が大切にしている価値観や、過去の挫折体験にも触れていきました。
ある人は「自分たちの声はどうせ届かない」と語りました。またある人は「実は会社が好きだからこそ、失望したくない」とつぶやきました。
こうして徐々に、「誰かが語るビジョン」ではなく、「皆の中から見出されるビジョン」へと、組織の意識が変わっていったのです。

■ コーチングが、沈黙の奥にある
“本音”を引き出すこのプロセスで重要だったのが、外部ファシリテーターによるコーチング的関わりです。
立場に関係なく、自分の言葉で語れる安全な場をつくる。
そして、「本当はどう思っている?」「どこに希望を感じている?」といった問いで、対話を深める。
普段は語られない本音が引き出されることで、組織の表情が変わっていきました。
「話してみたら、意外とみんな同じことを感じていたんだ」——そんな気づきが、行動変容のきっかけになります。

■ 行動が変わると、空気が変わる
価値観の言語化が進むと、それは次第に“ふるまい”に表れ始めます。たとえば・・・
・若手社員が会議で初めて意見を述べるようになる
・管理職が評価面談ではなく「未来についての対話」の時間をつくる
・「上が決めたことに従う」から「一緒に形にしていく」文化が育つ
こうした変化は一朝一夕では起こりません。けれど、確実に組織の“空気”が変わっていくのです。

■ TCAの提供する実践:
ビジネスコース、組織コーチング、そして「祭」
TCA設立10周年記念イベント コーチング祭2025〜感謝とチャレンジ〜

TCAでは、このような組織の変容を支えるために、
現場に根ざしたコーチングを体系化した「ビジネスコース」や、組織変革のための「組織コーチング実践」を提供しています。
コーチ養成講座 TripleAプログラム

そして今年も、知見と実践を共有する「TCAコーチング祭」を開催予定です。
現場で共創に取り組むコーチやリーダーたちと、リアルな声を交わすチャンスをぜひお見逃しなく。

■ 共創とは、違いを越えて未来を編むこと
共創は、最初から整っているものではありません。違いを受け入れ、沈黙に耳を傾け、小さな一歩を積み重ねていくこと。
そのプロセスにこそ、未来を切り拓く力が宿っています。
私たちはこれからも、コーチングという“対話の技術”を通じて、組織と人の可能性をともに引き出していきます。

長瀬 隆

長瀬 隆

Nagase Ryu

東京コーチング協会 運営委員
ポールスター・パートナー株式会社 代表取締役
資格
  • 東京コーチング協会認定プロフェッショナルコーチ(TCAPC)
  • 国際コーチング連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
  • 日本プロフェッショナル講師協会 認定講師
  • HRD社 DiSC®認定講師
思いつくままに - その2 - 「気づき:MVV(ミッション、ビジョンバリュー)を人に語れるようになる時…」
祭で自分と向き合う
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