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韓国コーチ大会2016訪問記

2016年11月3日、韓国コーチ大会の会場に足を踏み入れると、そこにはたくさんのコーチングに関するブースが並んでいました。
一つひとつ、説明を聞いていきましたが、その多様性に驚きました。
アセスメントツールを使った組織開発から、夫婦関係コーチング、童話を用いたコーチング、そして、布教活動にも応用できる神学的なコーチングまでありました。
みなさんが、それぞれに誇りを持って、熱心に話される姿がとても印象的でした。

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翌日の11月4日の午前中、この日が本大会となり、Jay-Woo Kim 韓国コーチ協会会長、延世大学の前総長である鄭 甲泳(ジョン カプヨン)氏による基調講演、そして海外から初の招待参加となった東京コーチング協会会長 士野楓氏による招待講演を聞きました。

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最初にKim会長の講演から、印象に残った言葉をご紹介します。

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行き詰まった社会の中で未来をひらくのがコーチング。
いい質問をするといい答えが出ると信じている。
AI(人工知能)と戦っている。
AIがコーチに何を与えるのか。
AIによる4次産業革命で2極化するだろう。
人間だけに出来ること、そこにコーチングの未来がある。
AI時代は自分を探すことがキーとなる。
それにコーチ一人ひとりが、どう向き合うか。
才能を発揮させることができる能力を身につけること。
準備に失敗することは、失敗を準備したことになる。
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私はこの講演にとても感銘を受け、後ほど会場でKim会長を見かけた時には、思わず駆け寄り、感銘を受けたことを伝えていました。

すると、「どこが良かった?」と質問されました。さすが、コーチ協会の会長です。
国民を幸せにするために、行き詰まった社会の中で未来を開くのがコーチングだというメッセージに感動したのですが、うまく英語になりませんでした。けれども、想いは通じたようです。

続いて、延世大学の前総長である鄭 甲泳氏の講演です。
未来社会のリーダーシップに関するお話で示唆に富むものでしたが、個人的に響いたのは最後にお話された次の部分です。

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コーチは相手の天才性を発見する必要がある。
人は潜在的な特徴(天才性)がある。信頼がないところでは、それは探せない。
山を登る時には見えなかった道端の花が山を降りる時に見えることがある。
あるいは、登る時にも見えたかもしれないが、降りる時には違って見えることがある。
信頼をベースにすれば見えてくる。
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氏は、コーチングを単に目標達成を加速するツールとしてではなく、信頼関係をベースにしたものと捉えています。
そして、帰国してから、この考え方がICFによるコーチングの定義で述べられていることと一致していることに気がつきました。

そして次に、海外から初の招待参加となる東京コーチング協会の士野会長の講演がありました。
士野さんは、演台から顔しか見えない小柄な女性ですが、非常にパワフルな講演でした。

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今回の大会では、客観的なデータを示しながら、日本のコーチング状況について韓国語でお話されました。

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ひと通りの説明が終わると演台の前に出て来て参加者に語りかけました。
西洋人は、初対面の相手でも「ハイ!」 と話しかけられる。けれども、私たち東洋人は、相手の名前を聞いて、名前で呼びかける。
コーチングはアメリカからやって来た。けれども、アジアの文化に合ったコーチングというものがあるはずだ。
私たちは、それを皆さんと一緒にアジアに広めたい。
会場から大きな拍手が湧きました。

午後からは、会場内に設けられた各講演ルームにおいて、日本から招かれた柘植さんによるスポーツ選手へのメンタルコーチングの講演を聞きました。
メンタルコーチングでは、どうやったら選手が早く成長するのか、結果を出せるのか、それを一人ひとりから全部引き出して本人に気づいてもらうという内容のお話でした。

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柘植さんは、人はそもそもチャレンジが好きだと言います。
チャレンジしない人がいるのではなく、
「本当はチャレンジしたいんだよね。チャレンジできないのは理由があるんだよね」
と考える。人は創意工夫するのが好きだと信じる。
今、日本の多くの企業では社員をチャレンジする人材に変えようとしていますが、「人はそもそもチャレンジが好きだ」という発想は少ないと思いました。

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「今、自分に何が起きているのか」
「本当は何がしたいのか」
「何ができるのか」
柘植さんは、自分とのコミュニケーションの質を高めることが大切だと言います。
これは、スポーツ選手に限らず、全ての人にとって大切なことだと思いました。

以上、柘植さんを除いて講演は全て韓国語だったので、東京コーチング協会会長の平本さんが側で通訳してくださいました。

コーチングの無限の可能性を感じさせる、密度の濃い2日間でした。
そして、自分が忘れかけていた大切なことを思い出させてくれた2日間でもありました。

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最後に、韓国コーチ協会の皆様の高いホスピタリティにあらためて感謝したいと思います。

丸山たつや
一般社団法人 東京コーチング協会 理事
生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
国家資格 キャリアコンサルタント