こんにちは。薬剤師コーチの関口詩乃です。
コーチング、特にフィードバックや共感についての勉強会をすると「語彙が少ないのですが、どうしたらよいですか?」と質問されることが多いです。
「相手や状況に合わせた表現をしたい」というのは、相手に対しての尊重と思いやりです。
そのために語彙を増やしたい、というならば、とても素敵な願いだと私は思います。
ただ、語彙を増やすって、かなり厄介です。
辞書はいわば言葉の標本です。
英単語と一緒で、辞書を丸暗記すれば使えるようになるわけではありません。
言葉にイメージや感情が入り、流れの中で使ってこそ、生きた言葉になります。
私には、自分の知っている言葉が生きた言葉なのか、標本の言葉なのか、その違いに気づいた経験があります。
大学入学後すぐ、北海道をドライブしていたとき、山肌にときどき、白樺林が見えました。
「北海道っぽいですね」
なんて言っていたら、地元の人に、
「山肌で、白樺林になっているところは山火事の後だ」
「火事の後、真っ先に生えてくるのが白樺」
「白樺は成長が早いけど、その分、寿命(樹齢)は長くない」
等々と教わりました。
つまり、それまであった森が火事で失われた後、真っ先に生えてきて林を作り、やがて次の植物にバトンタッチして森を再生するのが白樺林の役目です。
「自然って、すごいなぁ」と感動していたのですが、ここで「あっ!」と気づきました。
「私、それ(白樺はそういう役割の木)、大学入試で丸暗記した!!!」
受験の時、そのことは「知識」であり「暗記する呪文」でした。
試験勉強以外では、全く役に立たないし、使うこともない呪文でした。
ところが、実際の景色を見て感動し、そこで言葉として説明を受けたことで、私にとっての忘れられない光景と言葉になったのです。
このことから、生きた言葉を増やし、使うためには、
「その言葉がどんな意味か」
だけでなく、
「見たり聞いたり感じたりしながら、言葉を増やしていくこと」
の大切さを学びました。
そして、そうやって学んだ言葉は、自分の人生の幅を広げてくれることもわかりました。
たかが言葉、されど言葉。
「言葉の先には世界が広がっている」
と信じています。