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パラレルワールドとコーチング

2020年10月14日

20年ほど前、私がコーチングを習い始めたころは、
よくこんなコーチング・カンバセーションを聞きました。

コーチ:「どうしたら良いと思いますか?」
クライアント:「わかりません」
コーチ:「もしも、分かるとしたら?

実際に、こんなコーチング・カンバセーションが
成立することも多かったのです。

当時のコーチングは、1960年代のアメリカの
人間性回復運動の影響がまだ大きく、
コーチもクライアントも今以上に
直観力をよく使っていたと思います。

今だったら、クライアントから
「それが分からないからコーチを頼んでいる」
と言われてしまうかもしれません。

でも、クライアントのこの言葉の中には、
「自分には無理だ」「コーチに教えて欲しい」
というニュアンスも感じられますね。

一方、コーチは、クライアントには
自らが望む状態を実現する力があると信じています。

それをダイレクトに表現したのが
「もしも、分かるとしたら?」だったのです。


しかし、最近はコーチングも進化しています。

東京コーチング協会でも、
「もしも、分かるとしたら?」
という質問は教えていません。

拡散思考と収束思考とメタ認知思考を駆使した、
相手の視点を変えてアイディアを引き出す
質問スキルを教えています。


しかし、私は最近、「もしも、分かるとしたら?」
という質問にも、深い意味と力があるのではないか
と思い始めています。

それはなぜかというと、
「パラレルワールド」という考え方にあります。

「パラレルワールド」とは、
日本語で言うと「多世界」です。

私たちにAかBを選ぶ選択肢があってAを選んだ場合、
もう片方のBを選んだ現実は存在しないことになります。

ところが、パラレルワールドの考え方では、
Aを選んだ場合、もう片方のBを選んだ現実は
存在しなくなるのではなく、Bを選んだ別の世界が
同時に並行して存在しているというのです。

そして、私たちがどちらに
意識をフォーカスしているかによって、
どの世界にいるかが決まります。
(もちろん、簡単に意識のフォーカスを
変えることは出来ないので、通常、
私たちはどちらか一方の世界に留まります)。

「カモメのジョナサン」を書いたリチャード・バックは、
こうしたパラレルワールドを信じていました。


「パラレルワールド」は荒唐無稽な考えなのか
というと、確かにそうです。

しかし、現代の理論物理学や宇宙論では
超ひも理論やM理論によって、
パラレル宇宙論が真剣に考えられています。

私が大学で物理学を学んでいた頃に比べると、
「あやしい」から「ありえるかも」に
変わってきているように感じます。

物理学的には、パラレルワールドを仮定した方が、
辻褄が合うことが多いのです。

素粒子の組み合わせを確率的に計算して、
パラレルワールドには「別の自分」がいるはずだ
と主張する学者もいます。

ただし、パラレル宇宙が存在するとしても、
それがリチャード・バックが考えたように
人間の選択によって分岐して宇宙が増えていく
という考え方には飛躍があると思います。

しかし、絶対にあり得ないとも言えません。

何しろ、最近の理論物理学によると、
この宇宙は10次元以上らしく、
私たちの目の前には触れることも感じることも出来ない
別空間が存在しているといいます。

そして、実は「時間」というものは
存在しないらしいのです。

幽霊以上に摩訶不思議です。


コーチングの話に戻ります。

仮にパラレルワールドが存在するとしましょう。

ついでに、「時間は存在しない」という
最近の学説も取り入れて、過去も未来も同時に
パラレルに存在すると仮定しましょう。

そうなってくると、こんな質問ができると思います。


「あなたが欲しいと思っていた状態を手に入れた
(パラレルワールドにいる)あなたは、いったい、
どんな方法でそれを手にいれたのでしょうか?」

「あなたが欲しいと思っていた状態を失った
(パラレルワールドにいる)あなたは、
なぜ、それを失ったのでしょうか?」

「あなたが欲しいと思っていた状態を手に入れた
(パラレルワールドにいる)あなたは、
今、何を体験していますか?」

「あなたが欲しいと思っていた状態を失った
(パラレルワールドにいる)あなたは、
今、何を体験していますか?」


実際には「パラレルワールド」という言葉を使わずに、
シンプルに質問した方がよいかもしれません。

コーチのシンプルな質問は、
時に相手を深く考えさせます。

もしかしたら、クライアントの意識は、
一瞬、ほんとうにパラレルワールドを
垣間見ているのかもしれません。

こんなことを考えていると、
気楽に荒唐無稽な質問も出来てしまうのでした。


参考文献
リチャード・バック(作家)「One」(集英社文庫)
ミチオ・カク(物理学者)「パラレルワールド」(NHK出版)
カルロ・ロヴェッリ(物理学者)「時間は存在しない」(NHK出版)




TCA理事 丸山

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