こんにちは。
東京コーチング協会福岡支部の丸地です。
私がトレーナーとして講座を行う際、
いつも心に留めている言葉があります。
それが、
「初心忘るべからず」。
ご存知のように、
この言葉は、能の大成者である世阿弥の言葉です。
能の真髄について書いた『花鏡』の中に登場する言葉で、
一般的には、
「何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な
気持ちを持ち続けなければならない」
という意味で使うことが多いと思います。
しかし、世阿弥が花鏡の中で伝えている意味は、
全く異なります。
世阿弥の言う「初心」は、「初心者」の初心のこと。
つまり、未熟な状態のことを指します。
「何かを始めた時の下手だった記憶や、
そのときに味わったくやしい気持ちや
恥ずかしさを忘れてはダメですよ」
ということなのです。
人が何か行動を起こすにあたって、
その動機(モチベーション)となるものは2つ
という考え方があります。
1つは、不快を“避ける”モチベーション。
もう1つは、快を“得る”モチベーション。
この両者には、それぞれ特徴があります。
何かを“避ける”モチベーションは、瞬間的に
人を動かす力はとても大きいです。
しかし、それが長続きしないのも大きな特徴です。
雑然とした部屋に嫌気が差して、夜中なのに
掃除を始める。
しかし、ある程度問題ない状態になったら
飽きてしまい、
本当に片付いた状態には程遠い状態で終わって
しまう・・・。私だけではないはず 笑
一方で、“得る”モチベーションは、
エネルギーとしては弱く、瞬間的な力は大きくない。
しかし、それが長く続くというのが特徴です。
目標や夢を思い描いて、そのために何年もかけて
達成していくイメージですね。
コーチングにおいても、
この両方のモチベーションに気を配る必要が
あります。
今、目の前のクライアントにとって
必要なモチベーションは何か?
見極めていく必要があります。
さて、
花鏡のこの言葉は、どちらかというと、
問題を“避ける”モチベーションの内容です。
始めたころのみっともない姿を忘れず、
常に芸を磨いていくよう伝える言葉ですね。
しかし、この気持は忘れやすく、長続きしない。
だからこそ、常に意識して忘れないように
しなさい、という教えなのでしょう。
いやー、芸の道は、とても厳しいですね。
コーチングの道も、同様かもしれません。
どれくらい初心を思い出していますか?
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