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心の奥にある欲求

20年以上前になりますが、
私は精密機器メーカーで
研究者として働いていました。

その頃、私は一人で実験装置と向き合って
仕事をしていました。

何千万円もする装置を一人で自由に扱い、
とても恵まれた環境でした。

それなのに、
3ヶ月に一度くらい、
理由もなく憂鬱になるのです。

当時、あるコーチング会社が
半額キャンペーン
をやっていたので、
私はコーチングを申し込みました。

自分について知りたかったからです。

コーチといろいろ話しているうちに、

自分は人と関わっているとき、
いきいきとしているらしい、

ということに気づきました。

そこで、私は人と話す時間を
増やしてみました。

実験の合間や休み時間に、
職場の仲間と、
たくさん話すようにしたのです。

すると、うつ状態だったのに、調子が良くなりました。
自分でも驚くほどでした。

そして、仕事の成果も上がってきたのです。

私は、「ヒトではなく、モノに興味がある」と
思い込んでいました。

もしも、コーチングに出会わなければ、
自分が心の奥で
「人と関わりたい」
と思っていることに
気づかなかったと思います。

こうした個人の心理的な欲求のことを、
コーチングのパイオニアであるトマス・レナードは、
「ニーズ(心理的欲求)」と呼び、
つぎのように述べています。

「ニーズ(心理的欲求)」とは、
あなたが自分らしくいるために必要なもの。」

自分のニーズ(心理的欲求)が
満たされていないと、
私たちは、一種の欠乏状態に陥ります。

そして、自分らしくあることができなくなります。

自分のニーズ(心理的欲求)が
満たされることによって、
無意識的なフラストレーションによる
エネルギーの損失がなくなり、
本来の自分でいられるようになるのです。

そうであれば、
「自分のニーズ(心理的欲求)を
完全に満たしてしまおう!」
というのがトマス・レナードの考え方です。

私の場合だと、
「人と関わる」ことが
ニーズ(心理的欲求)でしたから、
常に人と関わるような環境の中
に身を置けばよいことになります。

しばらくして、
私はそのような環境に身を置くことになりました。

ちょうどその頃、
一人で行う研究の仕事から、
チームで行う研究の仕事に変わることを
上司から提案されたのです。

私は研究チームに移動しました。

研究チームでは、
午前中は一人で実験して、
午後はその結果をもとにチームの仲間と議論します。

そして、夕方からまた実験をするのです。

すると、これまで以上に仕事が楽しくなりました。
私はタバコを吸わないのに、
喫煙室にまで仲間と議論の続きをしに行きました。

今、思い出しても、楽しい時代でした。

それは、私のニーズ(心理的欲求)が
自動的に満たされる環境だったからです。

人は、自分のニーズ(心理的欲求)を知ることによって、
それを満たす環境に身を置くことができるようになります。

やがて、そうした環境を作り出すことができるようになります。

私はコーチングに出会うことによって自己理解を深め、
少しずつ、自分らしい道に向かって歩き始めました。

自己理解は、
自分が幸せである状態を作り出すために、
非常に重要です。
私は、そのことをコーチングを通じて知りました。

そして、
コーチングが自己理解のための
最強のツールであることも。

p.s.
今でも実験装置のことを思い出すと、
生まれ故郷を思い出すように胸が熱くなります。

それなのに、どうして私は技術者を辞めたのか?
それは、それ以上に胸を熱くするものを
自分の中に見つけたからです。

この続きは、また、書きたいと思います。

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丸山達哉
東京コーチング協会認定マスターコーチ
国際コーチング連盟認定マスターコーチ
30年間メーカーに勤務し、55歳で独立起業して、
コーチングをベースに幸せな仕事生活を送っている。

コラムを執筆したコーチ

丸山 達哉 丸山 達哉
まるやま たつや

役職・所属等

一般社団法人 東京コーチング協会 理事
リードセルフ株式会社 代表取締役

資格

東京コーチング協会マスターコーチ(TCAMC)
国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC)
国家資格キャリアコンサルタント

プロフィール・メッセージ

富士ゼロックス株式会社の中央研究所、人事本部・教育部を経てコーチとし て独立。幼稚園の頃から科学者になりたいと思い、大学では物理学を専攻 し、企業の研究所に就職。そこで15年間、研究開発に従事。いまでも研究開 発のことを […]